多くのFXトレーダーが取り入れている手法の一つである「両建て」。ネットやSNS上の記事では、「両建て手法は最強である」「トレードには両建てを取り入れたほうがよい」といった意見を見かけることも多いのですが、果たしてそれは本当なのでしょうか?特に、FX初心者の中には「本当に両建てで勝てるのか?」と疑問に思う方もいることでしょう。

そこで今回の記事では、両建ての仕組みを解説し、FXでは両建て手法が最強なのかという点について検証していきたいと思います。

両建てってどんな仕組み?

両建てとは、買い(ロング)ポジションと売り(ショート)ポジションの両方保有すること、を言います。両建ての最大のメリットは、レートがどのように変化しても、片方のポジションの損失をもう一方の利益でカバーできる点です。このようにリスクヘッジができることもあり、両建ての手法はFXトレーダーによく取り入れられる手法の一つとなっています。

両建てって最強なの?

多くのFXトレーダーが両建て手法を取り入れているため、「両建てはFXですごく良い手法なんだ!」「自分も両建てをトレードに導入しよう!」と考える方もいるのではないでしょうか。

しかし、両建て=絶対に勝てる手法というわけではありませんので注意が必要です。当然ながら、FXは投資ですので、両建て手法を使ったとしても、利益が損失で減ってしまう可能性は否定できません。

特に、FX初心者や両建てにあまり慣れていないトレーダーにとっては、使いどころが難しく、結果に結びつかないケースが多いのがデメリットです。実際のところ、両建ての手法についてよくわかっていない人が何の工夫もせずに両建てをしたところでほとんど効果が出ることはないでしょう。つまり両建てで勝つためには、両建て単体で使うのではなく、他の作戦と組み合わせて使うことが必要になります。

他の作戦と組み合わせるにはどうすればいいのか?

他の作戦と組み合わせると言っても、FXトレードの経験があまりない方にとっては、具体的にどうやればいいか分からないと思うのではないでしょうか。そこで、ここからはFXで「両建て手法」と「ほかの作戦」を組み合わせて勝つための必勝法を2つご紹介します。

組み合わせの手法で、おすすめの戦略は、以下の2つです。

  • スワップポイントさや取り
  • 両建てナンピン

それぞれの詳細を解説していきます。

スワップポイントさや取り

はじめに、スワップポイントさや取りの手法から見ていきましょう。

両建てをすると、ロングポジションのスワップポイント+ショートポジションのスワップポイントはマイナスになってしまいます。その場合には、ポジションを持っているだけで損失が発生し続けてしまう可能性が高いです。しかし、まれに両方のポジションのスワップポイント合計がプラスとなるケースが生じます。こうしたケースでは持っているだけで利益が発生し続けますので、トレーダーにとっては稼ぐチャンスが広がることになるのです。このようにして利益を出すことが「スワップポイントさや取り」の戦略になります。

この戦略において、最も重要なのは、「ロングポジションのスワップポイント」と「ショートポジションのスワップポイント」が両方プラスとなる通貨を持つこと。両方プラスとなる通貨を探すことが出来れば、スワップポイントで稼ぐのは比較的簡単です。

とはいえ具体的な手順がよくわからないという方もいると思いますので、その5ステップを下記に公開します。

  1. スワップポイントさや取りが可能な通貨ペアを見つける
  2. 同じ価格および同じ量で両建てする
  3. スワップポイントを稼ぎ続ける
  4. スワップポイントを確認する
  5. 決済する

両建てを行えば、いつ決済してもプラスマイナスゼロになる状態を作り出すことができ、トレードのリスクを大幅に下げられるようになるのは両建てするメリットの1つです。ただしスワップポイントは常に変化するため、定期的なチェックを怠らないようにしましょう。そして決済するときは、「スプレッドが狭い時」または「スワップポイントがマイナスになった時」のタイミングを選ぶのがおすすめです。

メリットが多いように感じられるスワップポイントさや取りの戦略ですが、この方法にはデメリットもあります。
念のためチェックしておきましょう。

デメリット1:あまり利益が出ない

この戦略の大きなデメリットは、あまり利益が出ないという点にあります。ちなみに、FXには証拠金の何倍もの額でトレードが出来るレバレッジというものがあります。レバレッジをかければスワップポイントも上がっていくため多少の利益を出すことは可能ではあるものの、微々たるスワップポイントで大きく稼ぐのはかなり難しいと思っておいたほうが良いでしょう。ダイナミックに稼ぎたい場合には、普通にレバレッジを使ってトレードするほうが稼げる可能性が高いです。自分がどんなトレードスタイルを選択するかは、あくまでも「短期間ですぐに利益を出したい」「両建ての手法にこだわりたい」といったマイルールに従って決めるべきです。

デメリット2:両建てができないFX業者がある

スワップポイントさや取りが良い手法だから、自分のトレードに採用したいと思っても、両建てを禁止している業者の口座では両建てを行うことはできません。FX業者の中には「そもそも両建てを禁止しているブローカー」も多いですので、両建てを目的としたトレードにチャレンジしたい方は事前にきちんと規約を調べておくようにしましょう。

両建てナンピン

続いての戦略は、両建てナンピンという手法です。

こちらの方法は手順がやや複雑で分かりにくいため、まずは具体的な手順から見ていきましょう。

  1. 100円でロングポジションを持つ
  2. 99円に下がったところで「99円のショートポジション」を持つ
  3. 2と同時に「99円のロングポジション」を持つ
  4. 98円に下がったところで、「98円のショートポジション」と「98円のロングポジション」を持つ
  5. 97円に下がったところで、「97円のショートポジション」と「97円のロングポジション」を持つ
  6. z円に下がったところで「z円のショートポジション」と「z円のロングポジション」を持つ

このケースでは、1番目の100円のロングポジションだけは相殺されませんが、待ち続けていれば「トータルでプラスになるタイミング」が来るため、そこで決済すれば利益が出すことができます。

とはいえ、こちらの手法にもデメリットがあります。下記にデメリットを示しますので、よく見極めたうえで、自分のトレードに採用するかどうかを決めるようにしましょう。

デメリット1:レンジ相場でしか使えない

この手法は、「レンジ相場であること」が前提となります。相場が一方的に上下し続けるような状況では、最初に取ったポジションがロスカットされやすくなるため、レンジ相場(細かな上下が連続する相場)でないと両建てナンピン手法は使うのが難しいでしょう。

デメリット2:手順が多くてややこしい

もちろんケースによりますが、上記の手順のように両建てナンピン手法では同時に大量のポジションを持つことが比較的多いです。ポジションを複数持ってトレードがややこしくなるとミスをするリスクも上がってしまうため、初心者トレーダーや両建てに慣れていないトレーダーには不向きと言えるでしょう。

まとめ

今回は、両建ての仕組みについて解説するとともに、FXでは両建て手法が最強なのかという点について解説していきました。

両建てはトレードにおいて有効な手法の一つではあるものの、すべての人に万能な最強の手法とは言い切れません。トレードスタイルや、トレードの状況、トレーダーのスキルなどによっても、両建て手法が生かせるかどうかは変わってきます。魅力的な手法に飛びつくのではなく、まずは自分がどんなトレードスタイルを採用するのか、そしてそのスタイルに最適な手法な何なのか、といった具合に戦略的にトレードと向き合うことが、勝率を上げる一番のコツと言えるのではないでしょうか。