買い(ロング)ポジションと売り(ショート)ポジションの両方保有することをFXでは「両建て」と表現します。FXでは、多くのトレーダーが取り入れる手法の一つですが、このように両建ての手法が注目されるのは、レートがどのように変化したとしても、片方のポジションの損失をもう一方の利益でカバーすることができるというメリットがあるからです。

しかしながら、「損失によって利益が減ってしまうこと」も当然あります。そのため、どのタイミングで両建てを使うかタイミングを見極めるのが非常に難しいという側面が存在することも事実。そして、何の戦略もないまま両建てをしたところであまり効果は期待できず、他の手法との組み合わせを構築しなければならない点もデメリットと言えるでしょう。

とはいえ、両建てはトレーダーとして知っておきたい手法の1つではありますので、こうしたメリット・デメリットを踏まえたうえで、FXにおける「両建て必勝法」を詳しく見ていきたいと思います。

両建ての必勝法は存在するのか?

では早速、両建ての必勝法は存在するのか?という点からチェックしていきましょう。

もちろん、FXは投資ですから「絶対に勝てる手法」「これさえやれば必ず勝てる」といった手法は存在しません。しかし、地道にコツコツと勝率を重ねられる(であろう)手法はいくつかあります。

その中から、今回は以下の2つをご紹介します。

  • スワップポイントさや取り
  • 両建てナンピン

1つずつ詳しく説明していきましょう。

スワップポイントさや取り

1つ目は、スワップポイントさや取りという必勝法です。
両建てでは、ロングポジションのスワップポイントおよびショートポジションのスワップポイントはマイナスになってしまうため、ポジションを持っているだけで損失が発生しやすくなってしまうという傾向があります。しかし、時に両方のポジションのスワップポイントの合計がプラスになることもあり、その場合にはポジションを保有しておくだけで利益が発生するのです。これが「スワップポイントのさや取り」になります。

つまり利益を出すためには、ロングポジションのスワップポイントもショートポジションのスワップポイントも両方プラスとなる通貨を探すことがカギを握ります。ただし、FXに関する知識が少ないトレード初心者が両方のスワップポイントがプラスになる通貨を探すのは難しい場合もありますので、プラスになる通貨ペアを選べなかったときのリスクは否定できません。とはいえ、プラスになる通貨さえ探し出すことが出来ればスワップポイントで稼ぎ続けることも可能ですから、通貨選びに自信がある方はチャレンジしてみることをおすすめします。

ちなみに、スワップポイントさや取りの手順は以下の通りです。

①スワップポイントさや取りが可能な通貨ペアを探す
②同じ価格・同じ量で両建てをする
③スワップポイントを稼ぐ
④スワップポイントを確認する
⑤ポジションを決済する

同じ価格・同じ量にて両建てを行うことのメリットは、いつ決済してもプラスマイナスゼロになることが出来るという点。つまり、リスクを大幅に下げることが可能なのです。そうは言っても、スワップポイントは常に変化するのでチェックは必ずしておくことが大切。確認を怠るのは禁物です。ポジションを決済するタイミングは、「スプレッドが狭い時」または「スワップポイントがマイナスになった時」となりますので、しっかり見極めるようにしましょう。

このようにメリットが多く見える「スワップポイントさや取り」にも、残念ながらデメリットがあります。

【スワップポイントさや取りのデメリット】

  1. それほど大きな利益が得られない
  2. そもそも両建てができない業者がある
1.それほど大きな利益が得られない

FXトレードでは、レバレッジをかければスワップポイントも上がるというのが通常です。しかし、スワップポイントだけで大儲けするというのは、かなり難易度が高いと言わざるを得ません。むしろ、かなり厳しいと断言してもよいでしょう。

そのため、もしあなたのFXトレードをする目的が「大きな儲けを出すこと」「莫大な利益を上げること」だとしたら、スワップポイントさや取りにこだわるのはやめておくべきです。おそらく他の戦略を取ったほうが圧倒的に勝率は高いでしょう。この手法を取り入れるかどうかは、あくまでも自分のトレードスタイルに応じて決めることをおすすめします。

2.そもそも両建てができないFX業者がある

あまり利益の出ないスワップポイントサヤ取りですが、FXトレーダーの中には「せっかくなら両建て必勝法にチャレンジしてみたい」と考える方もいることでしょう。そんな時、「どこのFX業者でも両建てが認められている」と思っているとキケンです。なぜなら、FX業者の中には「両建てを禁止しているブローカー」が多数存在するため。両建てを目的としたトレードを考えている場合には、必ずFX業者の規定をしっかり調べておくようにしましょう。

両建てナンピン

続いての手法は、両建てナンピン必勝法です。

この方法の手順は、次の通りです。

①99円でロングポジションを保有
②98円に下がったところで「98円のショートポジション」と「98円のロングポジション」を保有
③97円に下がったところで「97円のショートポジション」と「97円のロングポジション」を保有
④96円に下がったところで「96円のショートポジション」と「96円のロングポジション」を保有
⑤X円に下がったところで「x円のショートポジション」と「x円のロングポジション」を保有
※両建て必勝法は2以降

両建てナンピン必勝法では、1番(99円のロングポジション)だけは相殺することができませんので、98円に下がったところで同額のショートポジションを保有し、トータルでプラスになるタイミングを待ちます。プラスになったところでうまくポジションを決済することができれば利益を出すことができます。

「これだけで利益が出せるなら自分もやってみようかな」と思う方もいるかもしれませんが、両建てナンピン手法にもデメリットがありますので確認しておきましょう。

【両建てナンピン必勝法のデメリット】

  1. 手順が多くて煩雑
  2. レンジ相場でなければ難しい
1.手順が多くて煩雑

両建てナンピン必勝法では、同時に大量のポジションを持つことがほとんど。そのため大量のポジションを管理する必要があります。この管理が結構厄介なので、ややこしさや煩雑さを感じるトレーダーは多いでしょう。手順が多いことによりミスをするリスクも上がるため、複雑な手順が苦手な人には不向きな手法です。

2.レンジ相場でなければ厳しい

ナンピンを利用した両建ては「レンジ相場でないと難しい」という点がネックです。FXでは、相場が一方的に上がったり下がったりし続けると、最初に取ったポジションはロスカットされやすくなります。そのため、細かな上下が連続するレンジ相場でなければ両建てナンピン必勝法を使うのは難しいのです。

まとめ

今回は、FXにおける両建て必勝法のうち、コツコツと利益を積み上げられる「スワップポイントさや取り」と「両建てナンピン手法」の2つをご紹介しました。

2つの手法のうち、より実用性があるのは「スワップポイントさや取り」です。ただしスワップポイントさや取りも、トレーダーによっては「大した利益が見込めない」という点がデメリットとなるため、万能な必勝法とは言い切れません。

当然ながら、どの手法にも一長一短がありますので、自分のトレードスタイルに合った手法を取り入れていくことが勝率を高めるキーポイントとなるでしょう。