FXの両建ては、多くのトレーダーがトレードの幅を広げるために取り入れている手法の一つ。なかでも両建ての取引において最も重要なのが「片方のポジションを外すタイミング」になります。しかし、「ポジションの外し方がよく分からない」「どのタイミングでやればいいかイマイチ掴めない」といった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、はじめに「両建てのやり方」について説明したあと、「ポジションの外し方」について徹底解説していきます。
目次
両建てのやり方とは?
ではまず、両建てのやり方をチェックしてきましょう。
とはいえ両建てにはさまざまなやり方があり、すべてを網羅するのは難しいため、ここでは利益を出すのに有効な戦略を4つご紹介していきます。
両建ての有効な4つの戦略
- スワップポイントの差を利用する
- 利益や損失を固定して様子を見る
- 相場において両方向の値動きから利益を得る
- 複数の戦略を組み合わせる
スワップポイントの差を利用する
そもそもスワップポイントとは、通貨の金利差から得られる利益のこと。金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買ってポジションを保有することで、その金利差によって日々収益を得ることができます。
ただし、この手法には注意点もあります。それは、為替変動リスクがあること。もちろん、この方法で利益を得ることはできるのですが、スワップポイントには為替変動リスクがついて回りますので、デメリットがあることを理解した上でチャレンジするようにしましょう。
しかし、そのような場合に両建て取引を行えば為替変動のリスクを減らすことが可能です。たとえば、スワップポイントでは、同じ通貨ペアでもプラスポイントがマイナスポイントよりも大きい場合も少なくありません。つまりそれは、両建てを行っても完全に相殺されず済むケースがあるということです。さらに海外FXの場合には買いポジション・売りポジションともにプラスポイントとなる場合もあるため、それらを上手く利用すれば十分利益を出すことができます。
利益や損失を固定して様子を見る
両建ては、トレードの様子を見たいときにも有効な手段となり得ます。たとえば、片方のポジションで含み益や含み損が出ている際には、相場の様子を一旦見るために反対方向のポジションを保有してみると良いでしょう。そうすることで利益や損失を固定し、タイミングを置くことができるようになります。
相場で両方向の値動きから利益を得る
両建てを行うことによるメリットの一つに、買い方向・売り方向のどちらからでも利益を得られるという点があります。トレーダーの中には「どちらからでも利益が得られる」と聞くと、レンジ相場において両方の値動きを取ることをイメージする方もいらっしゃることでしょう。しかし、両方で利益を得られるのはトレンド相場でも変わりません。
上昇トレンドの最中でも短期的に下落するポイントが発生したり、下降トレンドの最中に短期的に上昇するポイントが発生したりすることは往々にしてあります。トレンド方向のポジションを保有し続け、調整する際にトレンドと反対方向のポジションでエントリーを行うことで、より大きな利益を生み出すことが可能です。
複数の戦略を組み合わせる
両建ては、単体のみで使用することももちろんできますが、複数の手法や戦略を組み合わせて独自にアレンジできる点が面白いところでもあります。最近ではネット上のブログやSNSなどでさまざまなトレーダーの手法をチェックすることも簡単にできるので、それらをチェックして試しにやってみたり、新しい組み合わせにチャレンジしてみたりするのもおすすめです。
両建ての外し方は?
両建てのやり方が分かったところで、次は両建ての外し方について見ていきましょう。
両建ての外し方は大きく分けて4つあります。
- 両方のポジションを同時に決済する
- 節税するために片方のポジションを損失確定させる
- トレンド方向のポジションは持ち続けるものの、トレンドと反対方向のポジションは決済する
- トレンドと反対方向にエントリーしたポジションは持ち続けるものの、トレンド方向のポジションは決済する
1つずつ解説します。
両方のポジションを同時に決済する
まずは、両方のポジションを同時に決済する方法です。当然ながら、共に決済してしまえばポジションは無くなるため、両建てによって固定されている「含み益」または「含み損」はゼロになってしまいます。つまり、両方のポジションを決済すると、両建てを行った時点で利益確定・損失確定の決済を行ったのと同じ意味になるのです。
節税するために片方のポジションを損失確定する
二つ目は、節税するために片方のポジションを損失確定させる方法になります。FXに税金がかかるのは、当該年度に利益と損失を確定させたもののみ。よって1年間のトータルで利益が出ている場合には、年末に片方のポジションを損切りすればその年の利益を小さくすることが可能です。利益が出ているポジションは、年が明けてからすぐに決済すると翌年の利益にすることができます。
トレンド方向のポジションは持ち続けるものの、トレンドと反対方向のポジションは決済する
三つ目は、トレンド方向のポジションを持ち続けるものの、トレンドと反対方向のポジションは決済する方法です。この方法は、「トレンド相場で有効」な両建ての外し方になります。ファンダメンタルやテクニカルから「トレンドがさらに続く」という判断ができた場合には、トレンドに向かってエントリーを行ったポジションを持ち続けましょう。そうすることで、トレンドと反対方向のポジションの利益は伸びませんが、相場の判断さえできていれば、トレンド方向にエントリーしたポジションの含み益を伸ばすことができます。
最も重要なポイントは、「トレンドの強さを見極められるかどうか?」という点。両建てを外した直後に、トレンドが転換してしまう可能性もあり、その場合には利益は小さくなってしまうので気を付けておきましょう。また、時には損失を出すことにもなりかねませんので、相場を判断する力をしっかり身に付けておくことが大切です。
トレンドと反対方向にエントリーしたポジションは持ち続けるものの、トレンド方向のポジションは決済する
四つ目は、トレンドと反対方向にエントリーしたポジションは持ち続けるものの、トレンド方向のポジションについては決済する方法。これは、「トレンドの転換時に有効」です。トレンド方向のポジションで含み益が出ていたとしても「あと少しでトレンドが転換するかもしれない」という確証が持てたときには、迷わず利益を確定させてしまいましょう。その後にトレンドが転換すれば、もう片方のポジションで発生している含み損を徐々に減少させることができます。とはいえ、損切りを行うタイミングと利益を確定させるタイミングが離れてしまうと、相場変動のリスクが生じてしまう可能性もありますので気を付けておきましょう。
まとめ
今回の記事では、「両建てにおいて有効な手法」と「両建ての外し方」について詳しく解説しました。
ここで押さえておきたいのは、両建てをしたからといって驚くような変化がもたらされるわけではないという点。確実に利益を出していきたいなら、トレンドの強弱や方向といった「現状をしっかり見極めること」を心がけましょう。